ユビキタス・サブレイヤー in イベント
ユビキタス・サブレイヤー in イベント


 オリンピックが開幕した。私は建設とメンテナンスに携わっているIBC(国際放送センター)に毎日詰めている。 各国の報道関係者が集結し、世界に映像を届ける熱気を感じている。 各報道局のスペースに通じるメイン通路には、いくつかのスポンサーブースがあるのだが、その中でアリババの取り組みが興味深い。

 ブースを訪れた人にCloud Pinというウェアラブル端末を無料で配布している。 腕時計の文字盤ほどの大きさで、主な機能は万歩計と、端末同士をタッチさせることで友達としてお互いの情報が記録できるというシンプルなものだ。 友達の数や歩数が一定の数を超える度、ブースでピンバッチやぬいぐるみ、Tシャツなどのリワードを受け取ることができる。

 端末裏の安全ピンでスタッフパスにつけている人が多く、知らない人でも気軽に友達になろうよと声をかけることができる。 スマートフォンのアプリと連動させ、任意で登録するSNSのリンクを読み込むことも可能だ。

 高校生の文化祭で、クラスメイトたちと企画したゲームを思い出す。学年ごとに違う色の画用紙をハート形に切り抜き、男子は黒、女子は赤の数字で、 男女それぞれ1番から人数分の数字を書き入れていく。共学の普通科だったので、おおよそ男女の人数は同じだった。 これを開会式で、全校生徒に学年ごとにランダムに配布する。「同じ学年の(同じ色のハートを持つ)異性で自分と同じ数字の人を文化祭が終わるまでに探してください」と、 ステージでルール説明をする。「見つけたペアは、私たちのクラスまで来てください。インスタントの記念写真とクッキーを景品として差し上げます」。

 配布時に同封した安全ピンでハートを胸につけて、積極的に相手を探してくれた人たちもいれば、すぐに捨ててしまう人たちももちろんいた。参加も楽しみ方も、自由だ。 「○○君、確か同じ番号だったよ!声かけてみなよ!」 文化祭というメインコンテンツが進行している中で、サブコンテンツとして楽しんでもらえるような企画になったと思う。

 アリババに話を戻すと、こちらも放送センターの業務というメインコンテンツが進行する中で、イベントを重層化し、自由度を高めているように感じる。 これらの取り組みを遍在するもう一つの楽しみとして、ユビキタス・サブレイヤーと呼んでみたい。 数字を書いた紙から、遥かに拡張性の高いデジタルデバイスに変わり、私は想像力を刺激されている。イベントでのクローズドな試みから、もちろん日常への発展も可能性がある。 毎日が楽しくなるアイデアのレイヤーが、デジタルテクノロジーで重層化していく未来を想像している。

(追記)中国企業だからという訳ではないが、セキュリティ上、情報リテラシーももちろん求められている。本題から逸れるためここで触れるにとどめる。