オリンピックの街
オリンピックの街


 東京オリンピックまで残り1年半程となり、街の開発が加速している。 私は勤めていた設計事務所からの独立を機に上京を決心したが、オリンピック関連の建設ラッシュを見込んでのこともあった。

 自分の住む街でオリンピックが開催されることは、とても幸運なことだと思う。私は二十代半ば、留学先のロンドンでオリンピックを経験することができた。 チケットが手に入り観戦もしたが、何より世界中から集まる人々の熱気で高揚した街にいること自体が楽しいものだった。

 ロンドンの北東部にある大きな公園、ロンドンフィールズで閉会式のパブリックビューイングに参加したことが思い出深い。 広場前方の大画面で中継される閉会式はつまみのようなもので、集まった人々は芝生の上でビール片手に友人や家族とおしゃべりに夢中だった。 「英国音楽のシンフォニー」をテーマに、クイーン、ザ・フー、デビット・ボウイ、オアシスなど、伝説的なアーティストがそろい踏みの、豪華な式典だ。

 そうこうするうちに、ステージに少年少女の聖歌隊が登場し、ジョン・レノンのイマジンが聞こえ始めた。すると突然、次々と広場の人々が立ち上がり始めた。 アナウンスが流れたわけではない。芝生に寝転がってビールを飲んでいた皆が自発的に立ち上がり、一人また一人とイマジンを歌い出したのだ。

 大合唱となった広場で、私はなぜか涙がこぼれてくるほど感動したことを覚えている。これは、誰もが口ずさむ平和の歌なのだ。 イギリスには偉大な文化があるということを改めて実感した。

 東京オリンピックでは、日本の文化を世界にどのように伝えるのだろうか。私は一住民としてオリンピックの街を楽しめるだろうか。 そして建築の分野で少しは貢献できるだろうか。今からとてもワクワクしている。